「イギリスと日本、子育てするならどっちがいい?」
帰国してからよく聞かれる質問です。
正直に言うと、どちらにも良さがあって、どちらにも大変なところがある。どっちが正解とは言えません。
この記事では、数年間のイギリス生活を経て本帰国した私が、両国の子育て環境の違いを5つの視点から比べてみました。
「どちらが優れているか」ではなく「こんなふうに違うんだ」という視点でお読みいただけると嬉しいです。
目次
①子どもが「自分で選ぶ」場面の多さ
イギリスの子育てで一番驚いたのは、子どもが日常のあらゆる場面で「自分で選ぶ」ことを求められることでした。
保育園や学校では、今日どの遊びをするか、どの本を読むか、どの席に座るか、子ども自身が決める場面がとても多い。
学校の給食もメニューは数種類あり、「これとこれ、どっちにする?」と登校時に必ず聞かれます。
大人が「これにしなさい」と決めてしまうことはほとんどなく、小さなことでも「あなたはどうしたい?」と問いかける文化が根付いていると感じました。
また学校の低学年時は「Choosing time(チュージングタイム)」と言って、好きなことをする時間が授業内に入ります。
外遊びする子もいれば、おままごとやブロック遊びをする子もいる。こういった積み重ねが幼いながらに「自分の気持ちを知る力」と「自分で決める習慣」が育っていくのかなあと思いました。
先のことを考え「転ばぬ先の杖」的なやさしさは温かいのですが、「あなたはどうしたい?」と聞く機会を意識的に作ることが、今の私の家庭内での小さなテーマになっています。
日常のあらゆる場面で「どうしたい?」と子どもに選ばせる。選択する力を小さい頃から育てる文化
大人が先回りしてサポートする場面が多め。温かいが、子どもが選ぶ機会が少なくなりがち
②学校・教育方針の違い
イギリスの学校は「個を伸ばす」ことへの意識がとても強いです。
得意なことを見つけてそこを徹底的に伸ばすアプローチ。
授業の中でも「あなたはどう思う?」と意見を聞かれる場面が多く、自分の考えを言語化する訓練が自然と積まれていきます。
日本の学校はみんなで同じことをそろってやる場面が多く、最初は「窮屈かな」と思いました。でも実際は、集団の中で協調することを学ぶ場として機能していて、それはそれで大切な力だと感じています。
「正解を出す力」と「自分の意見を持つ力」、どちらも子どもに育ってほしいと思うと両方の良さを家庭でどう補うかが今の私の課題です。
実際長女はYear1(5歳)の途中までイギリスにおり学校に通っていましたが、帰国してからも学校生活において自分で考えて発言がすることはあまり抵抗なくできるようです。(ドキドキする〜とは毎回言っていますが笑)
学校に限らずイギリスでのナーサリー(保育園)ではひとりひとりの個性やペースを最優先にしていて、食べるもの飲むものもひとりひとり家庭から持ってきます。
日本の園では「保育園ではコップ飲みをするので家庭で慣れてきてください」や「インナーはセパレートのものにしてください」など結構最初からルールが多く、入園の時点でみんなと足並みを揃えるような印象を持ちました。こちらとしても「ああそっか、やらなきゃ!」という気持ちにもなりお尻を叩いてくれてありがたく、日本の集団生活の始まりを感じました。
個性・意見を重視。「なぜそう思う?」を問い続ける授業
協調性・丁寧さを重視。みんなと足並みをそろえる文化
③先生・保護者との関係性
イギリスでは、先生と保護者の距離感がかなりフラットです。
送り迎えのときに教室の前で先生が出迎えてくれるのですが、先生と立ち話をするのが日常で、「今日こんなことがありましたよ」「最近こんなことに興味を持っています」というカジュアルなやり取りが自然にありました。
先生が「権威ある存在」というより、「子育てのパートナー」という感覚に近かったです。
日本では先生との関係がもう少しフォーマルで、連絡帳や懇談会が主なコミュニケーション手段。
最初は少し距離を感じましたが、慣れてくると日本の先生の丁寧さや責任感の強さにとても安心感を覚えました。
週に一度持って帰ってくるクラスだよりは4コマ付きで自筆イラストが書かれていたり、時間割や持ち物も事細か。先生のクラスに対する熱い想いをびっしり綴っていたりと各クラス生徒に対する愛を感じました。
仲間に寄り添い、チーム一丸となって何かをやり遂げようとする強みが日本の教育にはあると感じます。
イギリスの担任だった先生が「Happy Friday最高!」とさくっと帰る姿は忘れられません。文化の違いって面白いなあと思いました。笑
先生と保護者がフラットな関係。気軽に話しかけやすい
フォーマルで丁寧。先生の責任感と誠実さは際立っている
④教科書がない、でも本を大切にする
「えっ、教科書がないの?」
イギリスの学校に子どもを通わせてはじめて気づいたことのひとつです。
日本のように「国語」「算数」「理科」と科目ごとに教科書が配られることはなく、先生が用意したプリントや図書室の本、タブレットなどを使って授業が進んでいきます。
子どもがランドセルならぬバッグを持って帰ってきても、教科書はない。最初はそれが不思議で「本当に勉強できているのかな?」と少し心配になったくらいです。
毎日何しているんだ?と思うほど、カバンの中は空っぽ(笑)
その代わり、学校には本がとにかくたくさんあります。図書館の時間も充実していて、「本を読むことが当たり前」という空気が学校全体にある感じ。
学校でのみんな本は汚すことはタブーですが、本の扱い方にも文化の違いがあるようでイギリスでは本に書き込みをすることや付箋を貼ること、線を引くことは普通だそう。
本は「大切にしまっておくもの」ではなく「使いこなすもの」という感覚。
日本では教科書も本も「きれいに使う」「折り目をつけない」が基本ですよね。どちらが正しいわけではないのですが、本への向き合い方が根本的に違うなと感じた場面でした。
教科書なし。プリント・図書室・タブレットで学ぶ。
教科書あり。統一された学習内容が強み。
⑤子どものほめ方・認め方の文化
これは意外と大きな違いでした。イギリスでは、子どもが何かをするたびに “Well done!” “Brilliant!” “I’m so proud of you!” と大げさなくらい褒める文化があります。親も先生も、とにかくポジティブなフィードバックをたくさん言葉にします。
日本では、褒めることを大切にしながらも、どちらかというと謙遜や奥ゆかしさを重んじる文化があります。「うちの子なんてまだまだです」という言葉が自然に出てくる。
子どもの前でそれを言いすぎると子どもの自己肯定感に影響するかも、と思いながらついつい言ってしまうことが多々あります。あれ、なんなんですかねw
意識して言葉でたくさん褒めること。これはイギリスから持ち帰った大切な習慣のひとつです。
学期末など、面談でもらうクラスの様子やフィードバックシートにもイギリスではびっちりといいところが書かれており、先生ちゃんと見ていてくれているんだなと思ったものです。
親としてもそういった褒め言葉は心から嬉しいもの。自分の子供のことをより一層誇らしくなり「頑張ったんだね」とハグしたくなります。
言葉でたくさん褒める。自己肯定感を育てることを重視
謙遜の文化が根強い。褒める大切さは近年広まってきている
まとめ:どちらの良さも持ち寄って子育てしたい
イギリスと日本の子育ての違いを5つご紹介しました。
比べてみると、どちらにも学べることがあって両方を足して2で割ったらちょうど良い感じ。
むしろ今回イギリスのことを振り返ってみて、「最近あまり褒めていないな…」「足並み揃えるような発言ばかりしているかも…」と反省しました。orz
「自分でやってみる力」「意見を言葉にする力」「たくさん言葉で褒める習慣」はイギリスから持ち帰ったもの。
「丁寧さ」「協調性」「先生への信頼感」は日本に帰ってきて改めて感じた良さです。
どちらが正解かを決めるより、両方の良さをミックスして自分たちの子育てにしていく。
そんなスタンスで、これからも試行錯誤していきたいと思っています!
